今回ご紹介するのは、佐藤優子さんの『読まさる岸辺に』です。
この本は、2026年の文学フリマ札幌で購入した本です。
佐藤さんとは、私自身も棚オーナーとして関わっている棚貸し本屋ぷらっとBOOKでつながりがあります。そのため、単なる本としてではなく、実際に本を作り、届けている方の思いを感じながら読むことができました。
『読まさる岸辺に』は、これからZINEを作ってみたい人に向けた三部作です。内容は「文章編」「デザイン編」「販売編」の三部作で構成されており、ZINE制作の流れを段階的に学ぶことができます。
特に印象に残ったのは、②のデザイン編でした。
自分で作ったものを客観的に見ることは、思っている以上に難しいことです。作り手はどうしても自分の思い入れが強くなってしまうため、読者にとって本当に読みやすいものになっているのかを判断するには、普段からさまざまな本に触れ、「なぜこの本は読みやすいのか」を考える習慣が大切なのだと感じました。
また、デザインを専門家に依頼する場合でも、作り手側にある程度の感性やイメージがなければ、デザイナーさんとの認識を共有することは難しいと思います。デザインとは単に見た目を整えることではなく、届けたい内容をどのように伝えるかを考えることなのだと感じました。
私は一作目のZINEとして『読書会のはじめ方』という冊子を作りました。次の作品としては、noteに書いている日記をまとめたものを作りたいと考えています。そして将来的には、読書に関することや読書感想文をまとめた一冊も形にしてみたいと思っています。そのような中で本書を読むことで、改めて「作る側になる」ということへの意欲が湧いてきました。
タイトルにも使われている「読まさる」という北海道弁も、この本の魅力のひとつです。
「読まさる」という言葉には、「自分から読む」というよりも、「ついつい読んでしまう」というニュアンスがあります。本との出会いや文章の魅力によって、自然と読書へ導かれていく感覚を表現する言葉として、とても相性がいいと感じました。北海道弁の「〜さる」は、「押ささる」「書かさる」のように、自分の意思だけではなく、自然な流れによって行為が起こる感覚があります。こうした言葉の持つ柔らかさは、とても魅力的で、いつか標準語になってほしいと思うほどです。
また、知っている方が書いた本を読むことの良さも改めて感じました。
著者の顔や、その本を作るまでの過程を少しでも知っていると、文章の奥にある情熱まで感じ取ることができます。本を読むという行為に、人とのつながりが加わることで、より深い読書体験になるのだと思います。そういう意味でも、文学フリマという場所は特別です。そこでは直接書き手さんと出会い、本に込められた思いを聞くことができます。完成した本だけではなく、その背景にある挑戦や情熱まで受け取れることが、文学フリマの大きな魅力だと感じています。
『読まさる岸辺に』は、これからZINEを作ってみたい方におすすめしたい本です。
文章、デザイン、販売という三つの視点から読むことで、ZINE制作の全体像が見えてきます。そして何より、誰かに届けるものを自分の手で作る楽しさを感じさせてくれる本でした。この本に触れたことで、私自身も次の一冊を作りたいという気持ちがさらに強くなりました。















