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今回ご紹介するのは、水野仁輔さんの『カレーの対話 第2巻 インド料理をめぐる冒険』(イートミー出版)です。
インド料理にかけるシェフたちの生き様が織り込まれた、まるでドラマのような一冊だと感じました。この本は『第1巻 儲かるカレー店の作り方』とは異なり、対談形式ではなく取材を通してシェフたち個人の視点から描かれていることが特徴的で、シェフたちの声がリアルに響いてくる点に大きな魅力を感じました。お店の運営に重点を置いた「第1巻」からさらに一歩進み、シェフ一人ひとりの生き方や情熱が浮き彫りにされる「第2巻」では、単なる料理の話にとどまらない、彼らの人生の一端に触れるような感覚がありました。
この本を通じて特に印象に残ったのは、シェフたちが料理の道を歩み始めたきっかけがそれぞれ異なる点です。彼らが最初からうまくいっていたわけではなく、試行錯誤の末に今の地位を築いていることに、強い共感と感動を覚えました。また、インド料理店の草分け的な存在として日本にインド料理を根付かせるため、現地のカレーとは違う味わいをどのように受け入れてもらうか、苦労しながらスタートした彼らの挑戦には敬意を感じました。シェフたちが伝えたかったのは単なる料理ではなく、異文化そのものであり、その味を通じて日本の食文化に新たな視点をもたらす試みだと思いました。
また、この本の制作背景にも心惹かれました。TEDxというスピーチイベントに水野さんが以前登壇されました。水野さんはモットーとしてこの言葉をあげています。
誰も頼んでいなくて
誰も望んでいないかもしれないけれど
誰かが待っているはずのことに
全力を注ぐ
好きなものはカレーということで、シェフたちの生き様を記録した冊子を作り届けていました。最初は反応も少なく受け入れられなかったものの、徐々にシェフ同士のつながりが生まれ、カレーという一皿が新たな出会いや文化の交流を生む架け橋となっていったのです。このような過程を知り、水野さんの情熱が伝わると同時に、シェフたちが重ねてきた努力や情熱の大切さが伝わってきました。そこでの冊子がまとめられたのがこちらの一冊ということになります。
『カレーの対話 第2巻』で私が得たもう一つの大切な学びは、シンプルな動機の力です。どのシェフも「おいしいカレーを作りたい」という純粋な思いを原動力にし、自分が良いと思う味を届け続けています。すべての人に受け入れられなくても、共感してくれる人がいればお店はやっていけるのだと実感しました。自分を信じ、その情熱を貫くことの大切さを改めて感じました。
水野さんはTEDxで最後に「あなたなら何でやりますか?」という問いかけをしています。私にとっての答えは「本」です。まだ具体的な計画はないものの、今やっていることを少しずつ広げ、本を通じて誰かに響くようなメッセージを届けたいという思いが強まりました。この本は、ただの料理本を超えて、私にとって新たなチャレンジのきっかけを与えてくれたように思います。