今回ご紹介するのは、構成・文 水野仁輔さんの『カレーの対話 第5巻 カレー食べつくしガイド』(イートミー出版)です。
『カレーの対話』シリーズは水野さんの自費出版レーベルであるイートミー出版から刊行されています。これまでのものも読んでおり、その制作過程についてポッドキャスト「カレーの寺子屋」で紹介されていましたので楽しみながら読むことができました。
今作はこれまでとは一味違うところがあります。それはひとりの方をスポットに当てているところです。それが小野員裕(かずひろ)さんです。北海道生まれであり、文筆家、出張コック、フードプロデューサーとして活動されたとのことです。カレーの食べ歩きに関する著作もあり、対談をみっちりして本を作り上げる予定となっていました。残念ながら小野さんが亡くなられ、その計画がなされることはありませんでした。それでもかつて小野さんが残した食べつくしガイドを中心に水野さんが仮想対談するような形でこの本が仕上がりました。
私はカレーを食べに行くのも好きですし、自分で作るのも好きです。料理に対する楽しみ方は人それぞれあります。小野さんの文章を読んでいるとこの方は本当にカレーが好きなんだなというのが伝わってきます。偶然入ったお店のカレーが本で紹介するくらいおいしいお店というめぐり合わせは嘘のような本当の話のように感じられます。ご自身でその再現を試みることができるほどの料理の腕前もあるということで、味に対する分析も的確なんだろうなと感じました。
この本ではされていませんが、小野さんはお店の評価を星で表していたということです。水野さんもそうであるように私もお店の評価を星でするのを好んでしていません。ただ、これに関しては好みなのだと思っています。小野さんのような自分軸をきっちり持っている人は自信を持ってできるのだと思います。私は飲食店に求めるものに居心地の良さや接客も求めてしまうので、味中心の評価は避けてしまっています。
この一冊を通して水野さんの小野さんに対する敬意の眼差しを感じることができました。小野さんの活動があったから今の水野さんを形作っているものももしかしたらあるのかもしれません。それだけに対談がかなわなかったことは残念でしかありません。水野さんが小野さんの背中を追いかけたように水野さんの背中を追いかけている人もきっと多くいるだろうなと思います。カレーの学校を通して校長の水野さんとつながりを持つことができるようになっただけでなく、同窓生の方々とつながることができました。カレーを作ったり、食べに行ったりするだけでなく、交流のツールとしても使っていきたいと改めて思いました。















