水野仁輔さんの『最強! カレー道』(ホーム社)を読みました。
私は以前から水野仁輔さんの本を好んで読んでいて、イベントにも何度も参加をしています。今年の6月には水野さんが主宰する「カレーの学校」にも参加しました。SNSで水野さん自身がこの本を紹介していて、「傑作」とまでおっしゃっていたのも興味を持った理由のひとつです。ただ、その一方で「こういう本ほど売れない」とぼやいていたのも印象に残っています。著者自身がそこまで評価している本なら、読者としても確かめてみたくなります。
本書の副題には「10歳から学べる食の本質」とあります。その言葉の通り、カレーをきっかけに、食についてさまざまなことを学べる本になっています。もちろん、書かれていることの中には、すでに知識として知っていることもありました。それでも面白いと思ったのは、カレーという「好きなもの」を入り口にして学べることです。好きなものをきっかけにすると、勉強しようと思わなくても自然と興味が広がっていきます。本書の内容を自分なりにまとめていけば、立派な夏休みの自由研究にもなるのではないでしょうか。
大人に向けて書かれた「あとがき」も印象に残りました。
水野さんは、カレーに出会えたことを「ラッキーだった」と振り返っています。以前、別の場所で水野さんが「カレーはコミュニケーションツール」と話していたことも思い出しました。カレーがあることで行きたい場所に行くことができ、会いたい人にも会うことができる。それを読んで、私にとっての「本」も同じなのだと思いました。本を読むことで知らなかった場所を知ることができ、人の考えに触れることができます。そして、本をきっかけに人と出会うこともあります。私が続けている読書会も、考えてみれば本をコミュニケーションツールとして使っている活動なのかもしれません。何か自分が「極めたい」と思えるものを持つことは、そのものについて詳しくなるだけではないのだと思います。ひとつのものを深く掘っていくことで、そこから人や場所、文化など、さまざまなものにつながっていく。そんなところに物事を極めていく面白さがあるのではないでしょうか。
私自身、カレーを作るのも食べに行くのも好きです。カレーの学校では「カレーで遊ぶ人」、つまり「カレープレーヤー」を養成するというコンセプトがありました。私もカレーについては、正解を求めすぎるのではなく、自分なりに楽しみながら付き合っていきたいと思っています。そして、自分なりの視点で深めていきたいのは、本や読書についてです。読むだけで終わるのではなく、本を読んだ先にある人とのつながりや、新しい体験まで含めて読書を楽しめる人を増やしたい。これは私が読書会を続ける中でも大切にしていることです。
本書では、最初はライバルだと思っていた友達が、最後には仲間として協力し、おいしいカレーを作ろうとする流れがあります。この展開を読んで、カレーの学校で水野さんが語っていた「仲間の大切さ」を思い出しました。好きなことを一人で追いかけるだけではなく、誰かと一緒にやることで、さらに面白いものになっていく。私も何かをやろうと思ったときには、できるだけ誰かを巻き込んでいきたいと思います。大きく自分の考え方が変わったわけではありません。ただ、この本を読んだことで、これまで自分が目指してきた方向性に少し自信を持つことができました。
特に読んでほしいのは、カレーが好きな子どもたちです。カレーを入り口にして、食について知り、そこから文化や歴史、科学など、さまざまなことに興味を持ってもらえたらいいなと思います。好きなものは、世界を広げる入口になる。カレーを通して食の本質を学ぶこの本は、そんなことを教えてくれる一冊でした。















