今回ご紹介するのは、水野仁輔さんの『秘伝のブレンドで作るスパイスカレー』(家の光協会)です。カレーの人でお馴染みの水野さんの最新作です。水野仁輔さんは写真家としてジンケ・ブレッソンの顔を持っています。今回は新たな切り口としてMJという名で本を出すことになりました。MJのみだと興味のある人に引っかからないということで編集の方と相談をして水野さん名義になったとのことでした。
人格のベースはMJということで黒い服にサングラス、腕にはタトゥーがあります。語り口も軽妙で詩を読んでいるような感覚です。カレーそれぞれのネーミングもキャッチーで面白いです。お気に入りは「水金地火木土天海エッグカレー」です。ゆで卵を使ったカレーでまるで夜空に浮かぶ星のような存在感があります。
水野さんがこうしたレシピ本を作るときのこだわりを聞いたことがあります。それはカレーの色合いを変えるということでした。カレーの色が違うので見ていても面白いです。詩のような文章と合わせてまるで芸術品を眺めているような感覚でした。
カレー作りにおいてスパイスはたくさん使えば良いというわけではなさそうです。本書で扱う主要なスパイスは9種類でした。それの配合比率を変えていくことで好みの味に出会うことができそうです。
もう一つ特徴としてはパウダースパイスのみしか使わないということです。スパイスカレー作りというと最初に油を熱してホールスパイスを炒めるのが普通とされてきました。水野さんはそれに疑問を感じて検証して今回の結論にたどり着いたそうです。そのパウダースパイスも使い方によっては焦げやすいなどの理由から水で溶いて使います。
カレーの学校の際に色々とお話を伺うことができました。カレー作りに対する新たな手法を毎年のように生み出しています。そこにはカルチャーに敬意を払いつつ、サイエンスを考える姿勢を伺うことができます。水野さんって自由研究をずっとやられているような方なのかなと思いました。















