根底に流れる熱い気持ちが人に届く。

今回ご紹介する本は、構成・文 水野仁輔さんの『カレーの対話 第4巻 儲かるカレー店の作り方』(イートミー出版)です。

『カレーの対話』シリーズの第4巻となります。

水野仁輔さんがホストとなり、カレー店のオーナーシェフや経営者にインタビューをしています。

10名分のインタビューが収録されています。

 

今回の中で特に印象に残ったのは奥芝洋介さんのインタビューでした。

札幌在住の方であればすぐにピンとくるかもしれません。

スープカレー屋さんの奥芝商店を運営する会社の代表取締役です。

奥芝商店といえばエビスープが代名詞にもなっていますが、初めから順風満帆ではなかったようです。

オープン前からエビスープを全面的に出していくことは決まっていたそうでした。

しかしその出汁となるエビの頭をどこで仕入れることができるのかわからない状態でした。

何度も頼むことによって仲介してくれる方が現れたとのことでした。

エビの殻はもともと産業廃棄物であり、それを有効活用されたことが評価され、SDGsの取り組みとして評価されたとのことでした。

 

店名が決まったエピソードも印象的でした。

おじいちゃんが亡くなり、寂しさの中でオープン準備を進めてらっしゃいました。

おばあちゃんを車でお店に案内する道中でリサイクルショップに目を向けると、奥芝商店という前掛けがありました。

それはかつておじいちゃんとおばあちゃんがやっていた醤油や味噌を取り扱う商店の前掛けでした。

売り物ではなかったのもの事情を話して譲り受け、店名を奥芝商店にしたとのことでした。

私はこのエピソードを昔ホームページで見てはいましたが、実際に言葉として拝見すると何だか胸が熱くなるものがありました。

 

どの方も軸というか芯の強さを感じさせる方々でした。

お店を経営していくというのはちょっとやそっとの気持ちでは難しいでしょう。

熱い思いだけではやっていけないところもあるのかもしれません。

それでも熱い気持ちというのは最低限のところで必要だと思いました。

そのうえでどう戦略を組み立てていくかが大切です。

人がいいだけでは商売をやっていくことはできません。

時には経営方向の転換で常連客を離すということもあります。

それでも明確な意思を持って行動をすれば必ずファンはできるのだと思います。

 

経営という視点でもそうですし、自分自身のブランディングとしても参考になるところがありました。

これから第5巻、6巻と楽しみにしています。

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