今回紹介する本は、三砂慶明さんの『千年の読書 人生を変える本との出会い』(誠文堂新光社)です。
書店員さんによる読書エッセイです。
わたしもこうして本の感想を書いていますが、自分にしか書けない文章を考えると三砂さんのような距離感が理想的だなと感じました。
本を読んだからといって博学になれるとは限りませんし、頭が良くなるなんてことはありません。
では、なぜ人は本を求めて読んでいくのか。
三砂さんの背景にある考え方から本が紹介されていく様子はページがどんどんめくって読んでいくことができました。
おもしろい本を求めるというのは千年前の『源氏物語』の時代から変わりません。
本屋に行けばおもしろい本に出会えますし、どんどん積読が増えていくのが贅沢な悩みでもあります。
「本の世界への招待状」(p7)であり、読めばきっと読んでみたい本に出会えることでしょう。
一冊の本をきっかけにどんどん読みたい本が数珠つなぎのように広がっていくのが読書の醍醐味だとわたしは思っています。
書店員さんらしい読書エッセイだなと思ったのはあとがきにありました。
本屋さんの本棚は一段30冊であり、この本では210冊ほどが紹介されています。
つまり本屋さんの本棚一本分が紹介されているということです。
この発想は書店員さんならではだと感じました。
本を読むことの楽しさと、そのたのしさを自分の言葉で再構築することの大切さを感じる一冊でした。