湊かなえ『残照の頂 続・山女日記』(幻冬舎)

イベント情報







読書会等のイベントは お知らせ をご覧ください。

  読書会の申し込みは「こちら」からどうぞ。

参加希望日を選択の上ご連絡ください。

募集の案内はLINEでも行っています。

どこかの月曜日8時を基本として配信しています。

よければ登録をお願いします。

本題はこちらから

今回ご紹介するのは、湊かなえさんの『残照の頂 続・山女日記』(幻冬舎)です。

サイン本を購入していたものの長らく積読にしていました。積読にしている間に文庫本が出版されました。文庫本まで待っていれば、その分安く読むことができたとも言えますが、読みたいと思った本を手元に置いておくことにも意味があることを考えるとその点に関して損をしたという感覚はありません。

副題として『続・山女日記』とありますがストーリーはどれも独立していますのでこちらから読んでも大丈夫です。山に登る女性たちが主人公となっています。一人称視点から書かれるところがほとんどを占めています。一人称視点の小説はわたしが読むものに関しては少ないのではないかと思います。それぞれの人物が個人の思いや問題を抱えながら山に登っています。結論が出ることもあればそうもいかないこともあります。うまくはいかなくても折り合いをつけることはできます。山登りは時間がかかります。果てしなく遠い道のりのように見えても一歩一歩足を踏み進めていくことで見えてくる景色があるものだと感じました。

印象に残ったところを紹介します。

通過したつらい日々は、つらかったと認めればいい。大変だったと口に出せばいい。そして、そこを乗り越えた自分を素直にねぎらえばいい。そこから、次の目的地を探せばいい。

湊かなえ『残照の頂 続・山女日記』(幻冬舎)(p272)

山頂にたどり着くというのはゴールではなく、次に向かうためのスタートなのだと思います。わたし自身、過去のつらかった思い出を「あのときはそのようなこともあったなぁ」と美化するのは好きではありません。過去をそのまま受け入れるだけでいいと考えるとそれだけでも心が少し楽になるような気がしました。

著者の湊かなえさんは好きなものとして山をあげているだけあって、山登りの様子がとても臨場感があると感じました。山登りは長い工程になりますので、内省の機会を与えてくれます。わたしは高校時代山岳部であったのでまた山を登る機会が持てたらいいなと思いました。

読書会情報はこちらから!





Facebookオンラインコミュニティはこちらから

音声でも本の紹介をしています

お仕事・ご相談はこちらから!

書いている人


水野仁輔『カレーの対話 第3巻 あのカレー店がうまい訳』(イートミー出版)

幡野広志『ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために。』(ポプラ社)

関連記事

  1. 吉田修一『横道世之介』(文春文庫)

    こんにちは、井田祥吾(@shogogo0301)です。読書セラピストとし…

  2. 小川洋子『耳に棲むもの』(講談社)

    自分の心の声を大切にしようと思いました。今回ご紹介するのは、小川洋子さん…

  3. 幸村しゅう『私のカレーを食べてください』(小学館…

    こんにちは、読書セラピストの井田祥吾(@shogogo0301)です。「…

  4. 幕の内弁当を食べるように

    旅のお供に本を持っていきます。なるべく荷物にならないように文庫本を選ぶこ…

  5. 櫻井とりお『虹いろ図書館のへびおとこ』を読んで、…

    読書セラピストの井田祥吾(@shogogo0301)です。「本を語る、人…

  6. 重松清『カレーライス 教室で出会った重松清』(新…

    「本を語る、人と繋がる」をテーマに札幌ゼロ読書会を主宰しています、読書セラピ…

  7. 本気は報われる

    こんにちは、読書セラピストの井田祥吾(@shogogo0301)です。「…

  8. 木内昇『茗荷谷の猫』(文春文庫)

    こんにちは、井田祥吾(@shogogo0301)です。読書セラピストとし…

PAGE TOP