本を神聖視しないという自由

今回ご紹介するのは、松岡正剛『多読術』(筑摩書房)です。

 

松岡正剛氏はかつて「千夜千冊」という本の紹介を行っていました。

毎日、著者を被らせることなく本を紹介していました。

それだけの多読をしてきた方の読書観に触れることができる一冊です。

 

本はどういうものかという問いかけに、「本というのは、長い時間をかけて世界のすべてを呑み尽くしてきたメディアです。」(9頁)と答えています。

本は情報を受け取るためのひとつの方法でしかないということです。

なのでそれ自体に良いとか悪いというものはなく、崇める必要はないという点は、私の考えと一致しているところでした。

それに加えて、ファッションのように、日々の生活の中で行っていることのようにカジュアルに接することをおすすめされていました。

 

この本は、一度古本として手放した本でしたが、改めて再読をしたいと思い購入しました。

松岡氏は本書のなかで、マーキングをしながら本を読むことをおすすめしています。

それは、たくさん読むということを前提に、二度目に読むときに楽にするためという意味があります。

本を印刷されたノートだと思って、書き込みをしながら読むようにされています。

 

本に書き込みをすると、古本市場では間違いなく値がつくことはないため、すべきではないとされています。

この本にも、古本屋さんに売りたい人にはご法度とありますが、はたして本当にそうでしょうか。

私は少なくとも、この本を読んで、松岡正剛さんがマーキングした本は読みたいと思いました。

それは頭の中をのぞき見するような、ドキドキする行為です。

 

以前、キングコングの西野亮廣さんが手がけたサービスに「しるし書店」というものがありました。

ここでいうマーキングされた本を扱うプラットフォームです。

実際に、私のような人が売った本でさえ購入する人が現れました。

それは単純に値段設定でははかることができない何かがあったのだと思います。

 

もちろん、サービスとしての一過性はあったかもしれません。

でも、棚貸し本屋ぷらっとBOOKの棚オーナーとなり、自分の古本を売るようになった今、自分へのファンを身につけるための本の売り方の戦略として、ありだと思っています。

なのでこれからは、自然に本を読んで、その結果手放してもいいと思った本を扱っていこうと思います。

 

本への付き合い方は人それぞれです。

この本を読んで、こう読まなければいけないと思いすぎないほうがいいと感じました。

目の前にある本に合わせて、読み方は自然と変化するものだと思うくらいがちょうどいいです。

歳を重ねるにつれて、読み方もきっと変わってくるでしょう。

そういうところも含めて、これからも読書を楽しんでいこうと思います。

 

少し長いですが、最後に印象に残ったところを引用して締めます。

読書を神聖なものだとか、有意義なものだとか、特別なものだと思わないほうがいい。

読書はもともと多様なものだ。

だから、本は「薬」にもなるが「毒」にもなるし、毒にも薬にもならないことも少なくない。

読書は常にリスクを伴うと思ったほうがいい。読書を愉快にさせるのは、読み手次第なのである。

書き手だって、いい本を書いているとはかぎらない。だからといって、著者の責任と読者の責任が半々なのではない。

著者三割、読者三割、制作販売三割、のこり偶然が一割という相場だろう。

それゆえ本を読むにあたっては、読者自身が自分の得意な作法に照らし合わせ、会得しやすい柔軟な方法を身につけることをススメたい。

それにはむしろ最初から多読的に遊んでみるほうがおもしろいはずなのだ。

松岡正剛『多読術』(筑摩書房)(204頁)

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