マキヒロチ『旅する缶コーヒー』を読んで。コミュニケーションとしての缶コーヒー。

今回ご紹介する本は、マキヒロチさんの『旅する缶コーヒー』(実業之日本社)です。

写真家幡野広志の𝕏での投稿をきっかけに購入しました。

缶コーヒーをキーとした11作品のオムニバスとなっています。

幡野さんがおすすめされていた第三話は物撮りのカメラマンのもとにインターンに行く青年の話です。

両親が離婚をして母子家庭で育った青年は小学生の頃、小学校の展覧会の感想に撮られた作品とサインが描かれたポロライド写真をもらっていました。

それを母親に見せたところ、それは父親が撮ったものであることを知らされます。

時が経ち、父親と同じように写真を撮るようになり、父親の元へインターンへ行くことになりました。

最初の挨拶を済ましたところで缶コーヒーを買うように言われて、それをデッサンをすることから話が進んでいきます。

 

写真を撮るといってもジャンルは様々です。

風景を得意とする人もいれば、この作品のように物撮りを得意とする人もいます。

写真家と一言で言っても、他のジャンルと同じように専門があるということです。

 

幡野さんは著書の中でも「いい写真」を伝わる写真とおっしゃっています。

そのためには被写体への敬意も大切だとしています。

そしてそれを見る第三者の気持ちを想像することを忘れてはいけないと思っています。

 

幡野さんも物撮りで修行をしたというお話を聞いています。

ワークショップの際に物を撮る際にどれくらい撮ったらいいですか? と質問をしたことがあります。

物であれば動かないので好きなだけ枚数を撮ることができます。

逆に言えばどれくらい撮っておけば当たりがあるか思えるかどうかなのだと思います。

その時の幡野さんの回答は「50〜60枚撮っておけば安心できるかな」というものでした。

これだけ撮るというのを考えても趣味と仕事の違いのようなものを感じました。

 

他の話も缶コーヒーが登場します。

私の職場の自動販売機にも缶コーヒーはあります。

かつては缶コーヒーとタバコをセットで休憩する人を多く見かけました。

もしかしたら飲まれる量は減っているのかもしれません。

それでも缶コーヒーを通したコミュニケーションって今でもどこかに存在していると思います。

ちょっとした差し入れに缶コーヒーはピッタリかもしれないなと思いました。

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薬袋善郎『基本文法から学ぶ英語リーディング教本』(研究社)に、学生時代に出合いたかった。

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