イベント情報
読書会等のイベントは お知らせ をご覧ください。
募集の案内はLINEでも行っています。
どこかの月曜日8時を基本として配信しています。
申込はLINEから可能です。
よければ登録をお願いします。
本題はこちらから
こんにちは、読書セラピストの井田祥吾(@shogogo0301)です。
「本を語る、人と繋がる」をテーマに札幌ゼロ読書会の運営をしています。
また、ブログ、SNSやポッドキャスト等の発信活動を通して、本の魅力や読書の素晴らしさを伝えています。
今回紹介する本は、前野ウルド浩太郎『バッタを倒すぜアフリカで』(光文社新書)です。
本屋さんで平積みされているところを見つけました。
表紙とタイトルからすぐに『バッタを倒しにアフリカへ』(光文社新書)の続編であることがわかりました。
著者の前野ウルド浩太郎さんは昆虫学社(バッタ博士)です。
アフリカで大量発生し、農作物にも被害を与えているサバクトビバッタの研究をメインに行っています。
アフリカのモーリタニアで所長に研修者としての決意を伝えたところ、「ウルド」(〇〇の子孫の意)というミドルネームを受け取り、それ以来ミドルネームを含めて研究者名としています。
前作のときは詳しい研究内容が書けなかったとのことですが、今回はばっちりと紹介されています。
とはいいつつもとんとん拍子に話が進むというわけでなく、様々な紆余曲折を経ていく様子が書かれていました。
新書でありながら分量がなんと600ページに及びます。
バッタの研究に限れば短くなるのですが、脱線話や語り口も含めて私は楽しく読むことができました。
学生時代の授業で印象に残っている授業というのは脱線話だったりするものです。
論文の話題となっているのが、サバクトビバッタは雌雄で別の集団を作り、別居しているというものでした。
その解明に向けて様々なアプローチから研究を進めていきます。
学者の世界では論文を出すことで評価されることが分かりました。
どれだけの権威のある学術誌に掲載されるかが大切であり、スムーズに受理されずに書き直したり、他の論文に出したりと、好きな研究に没頭すれば良いという環境ではありません。
そもそも研究にはお金が必要で、そのためには認知される必要があります。
このインパクトある表紙で惹き寄せるのも作戦のひとつと言えます。
最後はこれからを生きていく若者に向けてのメッセージとなっていました。
論文執筆については学校で学んだあらゆる教科が役に立ったと書かれていました。
学生時代はなんの意味があるのだろうと思うようなことも、大人になってから思わぬ形で役に立つことはあるものです。
それを受験に関係ないからと切り離してしまうのはもったいないことだと感じました。
将来をどうしたいか考えるときにまず思い浮かぶのが「夢=仕事」ということです。
30歳を過ぎて思うのは仕事を夢にする必要はないし、夢はいくつになっても持っていていいということです。
私は今の仕事に誇りはありますが、これでないといけないとは思っていません。
ただ、誰にでもできる仕事を適当にやっているわけではないという自負はあります。
何がどう転ぶかは分からないので、義務教育はしっかりとやっておいた方がいいと私も思います。
前野さんは進路を見つけるためにまず「憧れの大人を見つけること」をお勧めしていました。
それがなかなか叶わない場合もあると思います。
そこで、私がゴリ押ししたいのが、読書である。
1冊の本には著者の人生そのものが詰まっている。
前野ウルド浩太郎『バッタを倒すぜアフリカで』(光文社新書)(p580)
とあります。
本を読むことで追体験できることが読書の大きな魅力であることを再認識しました。
前野さんは言葉で苦労されたことも書かれていました。
言葉が通じずとも仲良くなれる秘訣は、挨拶とお礼にあったのではないかと睨んでいる。
前野ウルド浩太郎『バッタを倒すぜアフリカで』(光文社新書)(p596)
とありました。
これに加えて「笑顔は万国共通の言語」と表現していました。
お金も時間もかからず、誰にでもできるからこそしっかりとできることが大切だと感じました。
また、前野さんはとても人を大切にされておりドライバーであり、よき相棒であるティジャニさんを一章割いて書かれていたのも印象的でした。
新書にしては分量が多いですが、学生でも大人でも楽しんでいたただける一冊かと思います。
YouTube『フジモトのカクロン』でも紹介をしました。