岸政彦氏監修の『北海道の生活史』(北海道新聞社)をコツコツと読んでいます。
持ち歩くのは困難なほどのいわゆる鈍器本なので家用です。
生活史という本のジャンルはなかなか聞くことはないと思います。
一人の人生の語りをまとめたものを生活史と呼んでいます。地域ごとにまとめられこれまで東京、沖縄、大阪と作成されてきました。ある特定の出版社が刊行しているわけではないというのも特徴の一つかなと思います。
『北海道の生活史』を読むなかで、聞き手の方々がどのような観点に気をつけて聞き取りを行っているのか興味を持ち、『生活史の方法』(筑摩書房)を読みました。
生活史を読んでいて感じるのは、聞き手との対話ではないということです。
どの生活史を読んでいても聞き手の方々は聞くことに徹しているという印象を受けました。もちろん話を広げていくための合いの手を入れているのですが、少なくとも自分が聞きたいことへ仕向けたり、誘導したりといったことはしていないという感じがしました。
聞き手の姿勢としては「聞く機械」になることをお願いしているそうです。表現は難しいですが主体的でありながら、受け身の姿勢が大切なのだと思います。そのための準備としてたくさんの質問を考えておくと書かれていました。そして聞き取りの際はその質問を見ないと書かれていました。徹底的に準備をしてあとはその場の流れに任せるのが大切なのだと思いました。
生活史そのものは切り取った部分である場合もあるのですが、最初の質問は「出身はどちら?」が多いようです。生まれたところがさかのぼっていくことで自分のルーツに迫ることができるという観点では、生まれた土地というのは大きな意味を持つのだと思います。
私は一歳のときに北海道に引っ越してきたのでそれまでに過ごした千葉県という土地になじみがあるわけではありません。それでも祖母の家に行くとこの空気から育ったのだとなんだか懐かしさのようなものを感じることがあります。そういう層の積み重ねで今の自分があるのだなと思います。
基本的には真面目な本なのですが、インタビューの録音方法のところでクスッと笑えるところがありました。
今ではICレコーダーが主流とのことですが、昔はカセットテープが使われていました。私の世代でおそらくギリギリだと思います。小学校高学年くらいまで使っていたと思います。ちなみにそれ以後はMDとなり、音楽プレーヤーへとの移行していきました。
カセットテープを使っていた時代のことを「室町時代の話です」や「鎌倉時代の話です」とさらりと書かれていました。
他の部分でボケがなかったのでこういう茶目っけのある方なのかなと勝手に想像しました。
聞き取りの手法を知ることでこれからアップデートされた視点で、『北海道の生活史』を読み進めることができそうです。















