川越宗一『熱源』(文春文庫)

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また、ブログやSNS、ポッドキャスト等の発信活動を通して、本の魅力や読書の素晴らしさを伝えています。

 

今回ご紹介するのは、川越宗一『熱源』(文春文庫)です。

第162回 直木賞受賞作品です。

文庫でサイン本があったので購入してありました。

私が札幌に住んでいて、アイヌ民族が出てくるということは知っていたのでいつか読んでみようと思っていました。

 

作品の舞台は明治時代から終戦にかけてと時間軸が長めになっています。

私は歴史小説が苦手なので避ける傾向にありますが、今作品は登場人物の多さの割には読みやすく、会話のなかにハッとさせられるものが多かったので、つまみ食いをするような感覚でも楽しめました。

日本に日本人として住んでいるとあまり民族のことについて考える機会は少ないかもしれません。

北海道はかつてアイヌ民族の土地であり、現在の地名の多くがアイヌ語に由来するものも多いことも知っています。

ただそれがどこまで生活に関与しているかと言われるとなんとも言いにくいところがあります。

戦争によって土地が取り上げられるだけでなく、言葉や名前も変わってしまう感覚というのは体験をしてみないとわかりません。

私に日本人としてのアイデンティティといったものがどれくらいあるのかを指し測るものさしは正直いってわかりません。

明日から別の国の人で使う言語も変わりますと言われて心がすぐに対応できるとは思いません。

統治するということが対等に見ていたのか、もしくは卑下していたのかは勉強しなければいけないなと感じました。

 

印象に残ったところを紹介します。

「戦争も何もかも、生きてる人間が始めたんだ。生きてる人間が気張らなきゃ、終わんないだろ。あたしもあんたも、まだ生きてる。なら、できることがある」

川越宗一『熱源』(文春文庫)(p477)

先ほどあげた「奪われたもの」は戦争によるものです。

戦争によって第三者とも呼べるそこにいた人たちが影響を受けてしまっていたのです。

世界には国をもたない民族もあります。

彼等に対して勝手に線を引いてしまうのもきっと違うのだろうと思いました。

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