小説で住む土地の理解を進める

今回ご紹介するのは、門井慶喜『札幌誕生』(河出書房新社)です。

2026年3月に開催した課題本読書会で扱うことになり読みました。この回から課題本のテーマを「北海道」にしました。私の積読本の山のなかからこちらの本を推薦し、選ばれました。

新聞小説として連載されていた作品です。札幌の開拓の歴史に関わった五つの物語の連作小説となっています。なかなかのボリュームがあるものの飽きることなく読み進めることができました。私は歴史小説を得意とはしていません。でも自分の住んでいる土地といった身近なものと結びつけられると理解がしやすいのかなと思いました。

特に印象に残ったのは第二話『ビー・アンビシャスー内村鑑三』です。北海道大学の前身である札幌農学校でのエピソードです。クラーク博士がいたのはほんの身近な時間であるのにそこまで人を惹きつけた魅力はなんであったのかを考えながら読みました。別れのときの「ビー・アンビシャス」はあまりにも有名です。それでもそれに付け加えられた言葉が人によって異なっているところがありました。印象的なシーンであるのにも関わらず違ってくるのは思い出補正によるところが大きいのかなと思いました。

私はこの本を読んでから実際に札幌時計台に行ってきました。これまでに施設のなかの展示を見る機会はありました。小説を読んでから見ると違った観点で見ることができました。晩餐会のときの署名の資料の複製を見ることができてイメージを膨らませることができました。

北海道は日本のなかでも比較的に歴史が浅い地域だと改めて感じました。資料によってある程度正確にたどることができる範囲です。開拓者の力があってこそ成り立っている地域なのだと思います。それと同時に自然に生きる動植物への配慮であったり、アイヌ民族への接し方については考えていかなければいけない課題だと感じました。

これからも好きな読書を通して北海道への理解を進めていきたいです。

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