伊坂幸太郎『シーソーモンスター』(中公文庫)

こんにちは、読書セラピストの井田祥吾(@shogogo0301)と申します。

「本を語る、人と繋がる」をテーマに、札幌ゼロ読書会の運営をしています。

また、ブログやSNS、ポッドキャスト等の発信活動を通して、本の魅力や読書の素晴らしさを伝えています。

 

今回ご紹介する本は、伊坂幸太郎『シーソーモンスター』(中公文庫)です。

伊坂幸太郎さんが発起人となって始まった螺旋プロジェクトの中の一作品です。

螺旋プロジェクトとは、共通のルールを決めて時代に沿って物語を書いていく、というものです。

山と海の対立ですとか、モチーフとするものが取り上げられています。

螺旋プロジェクトの作品はこれが初めてだったので他の作品も手にとってみたいと思います。

 

収録作品は表題作ある『シーソーモンスター』と『スピンモンスター』のふたつです。

分量としては同じくらいで読み心地としては中編作品といったところです。

それぞれの舞台背景は昭和後期と近未来となっています。

小説間で登場人物が交わるのが伊坂作品の楽しみのひとつですが、今作品でもありました。

 

『シーソーモンスター』では元スパイで現在は専業主婦の宮子がなかなか関係がうまくいかない姑に関わり合います。

クライマックスに向かっていく感覚が伝わってきて、どんどんページをめくって読んでいきました。

 

『スピンモンスター』は近未来でAIが発達するもののその弊害もあり、郵便物をアナログで届ける水戸が事件に巻き込まれる話です。

近未来と言いつつもそう遠くはないという印象を受けました。

 

どちらの話も対立軸が明確でわかりやすかったです。

山と海で人を分けているところがありました。

東と西に分けているところもありました。

戦争は決して肯定されるものではありませんが、それによって生み出された技術や生活に役立っているものもあります。

血や死を伴わない争いは競争であり、必要とされる場合も多々あるのかなと思いました。

 

『スピンモンスター』では宮沢賢治の『オツベルと象』の最後の部分が引用されていました。

その最後の部分は、

おや〔一字不明〕、川へはいっちゃいけないったら。

宮沢賢治『オツベルと象』

私が中学一年生の時に国語の授業で扱われました。

この部分をどのように解釈されるでしょうか?

「ある牛飼い」が語っていた話なので、話が終わり聞いていた子どもへの呼びかけというのが一般的かと思います。

では、なぜこの一文を入れたかを考えると、川に入ると流される、他人に流されないようにということを暗示していると教わりました。

この解釈は今まで目にしたことがないのでその先生独自のものだったのかなと今でも思います。

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