今回ご紹介するのは、庄子剛史さんの『本日も、ホンジツノカレー』です。
文学フリマ札幌で購入をしました。この本は、札幌市北区にあるカレー店「ホンジツノカレー」の店主である庄子さんが、お店を開くまでの経緯や、どのような思いで日々営業をしているのかを綴ったZINEです。
私は飲食店という場所は、単に食事をするためだけの場所ではないと思っています。もちろん、料理がおいしいことは何よりも大切です。見た目や味、素材へのこだわりなど、料理そのものから感じられるものがあります。しかし、それだけではなく、お店の雰囲気や店主さんの人柄、そこから醸し出される空気感も、その店の大切な魅力だと思っています。料理は作り手の思いが形になったものです。直接多くの会話をすることがなくても、一皿の料理を通じて、お店の方と対話をしているように感じる瞬間があります。そのためには、その料理がどのような思いで作られているのかを知ることも大切だと考えています。
『本日も、ホンジツノカレー』を読んだことで、私はホンジツノカレーというお店を初めて知りました。そして、本を読み終えた後、実際にお店へ足を運びました。訪れてみると、良い意味で期待を裏切らない、むしろ期待を上回るようなお店だと感じました。レギュラーメニューのカレーもありますが、私はその日に提供されていた限定のカレーをいただきました。特に印象に残ったのは、素材へのこだわりです。野菜がとても丁寧に調理されていることが伝わり、一つひとつの素材を大切に扱っていることを感じました。また、食事を終えて帰る際のお見送りも印象的でした。もちろん、すべてのお店に求めるものではありません。しかし、最後まで気持ちよく過ごしてほしいという思いが伝わるような対応で、「また来たい」と自然に思えるお店でした。

柚子胡椒風味の鶏せせりカレー(ささげトッピング)
今回改めて感じたのは、個人店にはその人だからこそ生み出せる魅力があるということです。
その魅力をより深く知るために、ZINEという形はとても相性が良いのだと思います。現在はSNSなどを通じて、自分の考えや活動を発信することができます。しかし、ZINEには紙として手元に残るからこその価値があります。時間をかけてページをめくりながら、書き手の思いや温度感に触れることができます。
庄子さんが、お店を始めた理由や大切にしていることを一冊にまとめたように、活動の根っこにある思いを伝えることは、とても大切なことだと感じました。これは私自身の活動にも通じることです。私が開催している読書会も、表面的には「本について語り合う場」ですが、その背景には、本を通じて人とつながることや、新しい視点に出会う楽しさを届けたいという思いがあります。
これからは、活動の内容だけではなく、その活動を通して何を届けたいのかという部分も、より発信していきたいと思いました。
『本日も、ホンジツノカレー』は、ホンジツノカレーが好きな方にはもちろん、個人店を応援したい方にも読んでほしい一冊です。一つのお店ができるまでの背景や、そこに込められた思いを知ることで、いつもの一皿がより特別なものに感じられるかもしれません。
文学フリマという場所で、このような一冊に出会えたことを嬉しく思います。















