映画『白鳥とコウモリ』の試写に招待されたので観てきました。
原作は同タイトルで東野圭吾さんです。
私はこれまで刊行されているすべての東野圭吾さんの作品を読んできました。小説が映画を超えることについて疑問を持っていました。頭で想像していたものを映像が超えることはあるのかと思っていました。なので、積極的に映像作品を観るということはしていませんでした。今回、この映画を観てその考え方を改めようと思いました。
物語は東京で弁護士が殺害されたところから始まります。捜査で浮上した容疑者は愛知在住の男性でした。証拠を集めてそれについて問うとあっさりと自供をし、過去に愛知で起こった事件の容疑も認めました。それに対して容疑者の息子も被害者の娘も「父親」がそのような行動を取ったとは思えないと真相を探し出そうとします。本来なら交わることのない二人が真相を求めて情報交換をしていきます。
ミステリにはさまざまな手法があります。大きな流れでいえば誰がやったのか?(フーダニット)と言えるでしょう。でも、真相を求めていくという過程ではどうして?(ホワイダニット)ともいえます。弁護士が殺害されたというだけでなく、過去の事件も絡み合いながら話が進んでいきます。真実を求めることが必ずしも幸せにつながるかは考えなければいけません。でも本当のことを知らないと前に進めないという気持ちは理解ができました。
刑事物のミステリでは刑事が鮮やかに謎を解明していくものが多いかと思います。実際に東野圭吾さんのシリーズでは加賀恭一郎シリーズがこれに当てはまります。このシリーズの刑事・五代努は一つずつ証拠を集めていくものの感情を表に出さずに淡々と朴訥な感じで進めていきます。その雰囲気が演じられた柄本佑さんにぴったりでした。
『手紙』でも描かれているように、加害者の家族に対する反応というのは考えなければいけません。果たしてそれらから得る情報が本当に正しいのかは俯瞰的に見なければいけないと改めて感じました。また匿名であることを理由に加害者についてあれこれを書き込むことは新たな被害を生むことになるのだと感じました。少なくとも誰かを攻撃する意図で書き込みをするのは避けなればいけません。
145分の映画とのことです。単行本では500ページ超えの作品をここまでギュッと無駄なく、冗長も感じさせることなく楽しむことができました。無駄なシーンを感じることがなく、ページを止めるタイミングを失っているような鑑賞体験でした。東野圭吾さんに先日、訃報があり残念でした。それでも一級品の小説の数々を残してくれました。それを一流のクリエイターの方々が作品として送り出してきて、これからも作られるのを考えると映像化も積極的に観ていこうと思いました。
公開は2026年9月4日からです。劇場にぜひ足を運んでみてください。















