『世界は行動経済学でできている』に学ぶ、日常に潜む不合理な心理とその活用法

今回ご紹介する本は、橋本之克さんの『世界は行動経済学でできている』(アスコム)です。

出版元であるアスコムの方からご提供いただきました。

 

本書のテーマである行動経済学とは、”心理学と経済学を組み合わせることで、人間の不合理な行動の謎を解き明かす学問”とのことです。

ほしいと思っていなかったものを、ついつい買ってしまったという経験はどなたにでもあるでしょう。

こうした現象も、行動経済学によって説明が可能だとされています。

本書は一般読者向けに書かれており、ゆったりとした文字組と豊富なイラストが用いられているため、入門書として最適な印象を受けました。

また、理論だけでなく実践にも重きを置いているため、読んだ後すぐに日常生活に活かせる内容ばかりでした。

 

特に印象に残った点をいくつかご紹介します。

 

ひとつ目は、「コントロール幻想」です。

人間は、自分の力が及ばないと認識している事柄に対しても、合理的に考えようとする傾向があると述べられていました。

例えば、旅行先で『必ず雨が降る雨男』と呼ばれたとしても、その根拠は曖昧で、実際には存在しないように感じられます。

また、宝くじなどでは、自分で番号を選ぶタイプの方が好まれるという現象も、この考え方に由来しているとのことです。

頼むときには相手に選んでもらうことも重要ですが、自分自身のことについては、自らがコントロールできる点を重視すべきだと学びました。

私の場合、読書会のようなサードプレイスが大きな役割を果たしていると感じています。

 

次は、「現在志向バイアス」です。

未来のことよりも目の前の利益を優先してしまう傾向があるとのことです。

元旦に一年の目標を立てたとしても、すぐに先送りにしてしまう傾向が見受けられます。

改善策としては、大きな目標に加えて、より具体的かつ小さな目標を設定することが挙げられています。

特に、一週間単位で達成すべき目標を設定すると効果的であるとわかりました。

また、行動を開始する際には、「2ミニッツ・スターター」という手法が紹介されており、まずは2分間だけ試してみるという方法が提案されていました。

行動は始めることが最もハードルが高いため、こうしたアプローチが役立つと感じました。

 

最後は、「エンダウト・プログレス」です。

人は、どうしても仕事をキリの良いところで終えたいと思いがちですが、あえて途中で終えることで、再開時にスムーズに取り組むことが可能となります。

こうした小さな工夫が、業務の進捗に大きな変化をもたらすことが期待されます。

 

今回、アスコムの方からご連絡をいただき、西剛志さんの『結局、どうしたら伝わるのか?』と本書の両方をご提供いただきました。

どちらも非常に読みやすく、何か専門的なことを学び始める際の入門書として、ぜひ一度手に取ってみることをお勧めします。

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