今回ご紹介するのは、橋本之克さんの『チームは「仕組み化」でうまくいく』(祥伝社)です。
行動経済学という学問分野をご存知でしょうか? 心理学と経済学の両方の分野の特徴を併せ持つ学問分野で注目がされています。物事を全て合理的に人間がこなすことができていれば、ダイエットに悩む人はなく、減量に成功しているでしょう。そもそも減量が必要な状況にならないでしょう。個人におけるパターンもそうですが、チームとなった場合にも最適な行動を常にできるとは限りません。私も組織の一員として働くなかでうまくいかないと感じることがあるので本書に参考になるところがあればと手に取りました。
本書の構成としては、実際の現場でありそうな事例が紹介され、それを解決に導くためのポイントについて解説されています。聞いたことがある理論の名前から初めて聞くものまで様々でした。私は組織のなかでもセクション単位のチームのなかでも中間の立場に位置しています。小さなところではちょっとした問いかけの言葉を変えることで相手の行動変容を促せるところがあるなら積極的に使っていきたいと思いました。
目標の作り方のところが特に参考になりました。野球の例でいうと打率よりも安打数を目標にするといいと書かれていました。打率と言うのは割合ですので変動がします。安打数というのは減ることがなく、積み上げていく一方です。最終的に会社で数値として追っていくのは割合の部分であっても、チームのスタッフに対しては後何件といったように数としてカウントダウンできる形で提供するほうが伝え方としてはいいのだというのが学びでした。
タイトルにもあるように組織やチームに向けて書かれている本ではありますが、セルフマネジメントに対しても有効だと感じました。何かやることが億劫に感じることがあっても最初のきっかけをつかんでやってしまえばあとは流れ作業でできてしまうということがあります。そういった作業はなんでもっと早くやらなかったのだろうというものもありますし、面倒だと思っていたことでもやれば当然スッキリします。それに近い状態をあえて作り出すということで、あえてきりがいいところで作業をやめるというのも印象的です。人は中途半端を嫌うのでやりたくなってしまうものです。休憩や休みをはさむ場合は気持ち悪いかもしれませんが、あえて中断させるというのも使える手だと思います。
もちろん学問分野ですので、そういう傾向があるということであり、すべての人に対して同じように適切に使えるとは限りません。でも知っているのといないのでは円滑に業務を進められるかに関わってくるところだと思いました。これをやれば絶対上手くいくというものではないので、それに関しては解決策のひとつとして捉えるのが良いのかなと思います。
ジャムの試食の数を多くしたところ多くの人が試食するようになったものの売り上げは減少したという話があります。選択肢の多さは時として決定疲れを生んでしまうという現象です。この本で学んだことの全てを実践しようとはせずに使えるところから使ってみて、困ったときのヒントとしてまた手に取るくらいがちょうどいいのかなと思います。















