こんにちは、読書セラピストの井田祥吾(@shogogo0301)と申します。
「本を語る、人と繋がる」をテーマに、札幌ゼロ読書会の運営をしています。
また、ブログやSNS、ポッドキャスト等の発信活動を通して、本の魅力や読書の素晴らしさを伝えています。
今回ご紹介するのは、出口汪『やりなおし高校国語ー教科書で論理力・読解力を鍛える』(ちくま新書)です。
高校生になり、電車通学をするようになったことで、読書に一層のめり込むようになりました。
しかし、国語の成績は思うように伸びず、悩んでいました。
その原因は、筆者の言いたいことを正確に読み取れないことにあったのだと、今振り返って気づきます。
読解の際、自分勝手な解釈や想像に頼りすぎていたことが、多くの回答を検討違いなものにしていたのです。
個人の感想であればそれでも構わないかもしれませんが、書かれていることを正確に読み取る力は、これからの時代にも不可欠だと感じました。
そこで手に取ったのが、出口汪さんの『やりなおし高校国語』です。
著者は予備校講師としてカリスマ的な人気を誇る方で、本書では教科書に載っている文章を題材にして論理的な国語の読み解き方を解説しています。
冒頭で「国語ほど実際に役に立つものはない」と断言されており、その言葉に強い印象を受けました。
また、考える力を養う文章と哲学的な教養を学ぶ文章を分けて考える必要性について述べられており、従来の「フィーリングで解く国語」というイメージを改めさせられました。
本書では、論理の基本として「イコールの関係」「対立関係」「因果関係」が紹介されています。
特に、主張が抽象的な場合は具体的な例を持ち出すことで説得力を持たせるべきだという指摘には納得しました。
この考え方は、難しい文章に直面したときほど役立つと感じました。
文章を読む際に迷子にならないためにも、構造を意識する読み方を身につけたいと思います。
また、小説を読むときには、自分の背景知識に頼りすぎず、その作品が描かれた時代や背景に目を向けることが重要だと学びました。
本書で取り上げられていた夏目漱石の『こころ』を例に、Kと先生が自殺に至った理由を深く理解できたときには、大きな発見がありました。
教科書に載る文章は、国語力を鍛えるための最高の教材です。
本書を通じて、正確に読み取る力を鍛えたうえで、自分なりの感想や議論を展開できるよう、これからも学びを深めていきたいと思います。