「めざすもの」をどう考えるか

致知2026年9月号』(致知出版社)を読みました。今回の特集テーマは「めざすものを持つ」でした。

「めざすものを持つ」と聞くと、将来の明確な目標を設定し、そこから逆算して今何をすべきかを考えることをイメージするかもしれません。しかし、私は昔から未来を予測することがあまり得意ではありません。10年後、20年後に自分がどうなっているのかを具体的に思い描くことは難しいです。今回の特集を読んでも、その考え方はあまり変わりませんでした。むしろ、未来を明確に決めなくてもいいのではないかと思いました。

もちろん、ぼんやりと「こうなっていたらいいな」というイメージはあります。ただ、それ以上に大切なのは、毎日の生活を大切にすることです。今日という一日を積み重ねていった先に、自分にとって素晴らしい未来があってほしいと思っています。

特に印象に残ったのが、フォーバル会長の大久保秀夫氏と、比叡山延暦寺観明院住職の宮本祖豊氏の対談です。大久保氏が語っていた、病気になったことについて「後悔しても先には進まない」という捉え方が心に残りました。

私自身、病気を理由に大学を中退した経験があります。大学を続けられなかったこと自体については、仕方のなかったことだと思っています。そのため、後悔はしていません。ただ、「もし大学をそのまま続けることができていたら、自分はどうなっていただろう」と考えることはあります。過去の出来事は変えることができません。だからこそ、その出来事をいつまでも後悔するのではなく、そこから何を得ることができたのかを考えることが大切なのだと思います。

私の場合、療養生活の中で運動の良さに気づくことができました。そして、それを仕事にすることができました。今では、健康について学ぶことが、そのまま仕事にも活かされています。学んだことを誰かに伝え、それによって相手の役に立つことができたとき、「この経験があったからこそ、今の自分がいるのだな」と思うことがあります。もちろん、大学を中退したことを「よかったことだった」と単純に考えているわけではありません。できれば違う道を歩んでみたかったという気持ちもあります。それでも、起きてしまった出来事を変えられないのであれば、その経験をこれからの人生にどう活かしていくかは、自分で考えることができます。負に見えるものを正に転換させる。そのようなものの見方は、これからも大切にしたいと思いました。

今回の特集を読みながら、自分にとっての「めざすもの」とは何なのだろうと考えました。そこで出てきたのは、具体的な職業や達成したい目標ではありませんでした。むしろ、「どうありたいか」ということなのだと思います。

まず一つ目は、学び続けることです。私は学ぶことに対する好奇心が旺盛なのだと思います。新しいことを知ることが好きです。そして、そこで得た知識を何かに活かすことができたと感じると、とても心地よく感じます。特に、教える人には学び続ける義務があると思っています。自分が知っていることだけを繰り返し伝えるのではなく、自分自身も学び続ける。そうすることで、よりよいものを人に伝えられるのではないかと思います。

二つ目は、好きなことをやり続けることです。これは本を読むことにもつながっています。「将来のために何を読むべきか」と考えるよりも、今自分が読みたいと思った本を読む。興味を持ったものに素直に手を伸ばす。そうして読んできた本が、思いもよらないところで仕事や人との会話につながることがあります。だからこれからも、読みたい本を読み続けたいと思っています。

そして三つ目は、人とのコミュニケーションを楽しむことです。学んだことを誰かに伝えて、「ありがとう」と言ってもらえることは、私にとって大きな喜びです。それは仕事でも同じですし、読書会でも同じです。自分が面白いと思った本について話したときに、誰かが興味を持ってくれる。その人が「その本を読んでみたい」と思ってくれる。そんな瞬間が好きなのだと思います。

学ぶこと、好きなこと、人とのコミュニケーション。それらを通して、自分が得たものが誰かの役に立つのであれば、これ以上の幸せはないように思います。

今回の特集を読んでも、私は未来を明確に決める必要はないと思いました。未来について何も考えないということではありません。「こんなふうになっていたらいいな」というぼんやりとしたイメージは持っておく。そのうえで、今日という日を大切に生きる。学びたいことを学び、好きな本を読み、人との会話を楽しむ。そうやって一日一日を積み重ねていった結果、振り返ったときに「自分が思っていたよりも、いいところまで来ていた」と思えたら、それは素敵なことではないでしょうか。

未来を正確に予測することはできません。だからこそ、遠い未来を決めすぎるのではなく、今の自分が大切にしたいことを大切にする。私にとって「めざすものを持つ」ということは、具体的なゴールを決めることではなく、「どうありたいか」という方向を持つことなのだと思います。学び続けること。好きなことを続けること。人とのコミュニケーションを楽しむこと。そして、それらを通して誰かの役に立つこと。そんな毎日を積み重ねた先に、自分にとっての「素晴らしい未来」があればいい。今は、そんなふうに考えています。

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