どうして聴き上手が多いのか。

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こんにちは、読書セラピストの井田祥吾(@shogogo0301)です。

「本を語る、人と繋がる」をテーマに、札幌ゼロ読書会の運営をしています。

また、ブログやSNS、ポッドキャストを通じて、本の魅力と読書の素晴らしさを広く発信しています。

 

私が読書会を開き始めて、すでに累計150回を超えました。読書会といっても、形式はさまざまです。最近は、参加者それぞれが好きな本を紹介し合い、雑談を楽しむ「本の話をしよう」というテーマの会を開催しています。初対面の方々とは思えないほど、話が盛り上がっています。

この読書会で特に感じるのは、参加者が非常に「聴き上手」であるということです。本の紹介を中心に進めているため、討論会のような激しい議論にはなりにくいかもしれません。それでも、皆さんがしっかりと話を聴き、それに対して質問や感想を交換することで、毎回熱心な議論が生まれています。

なぜこのような雰囲気が生まれるのか考えてみると、それは「本」というメディアそのものの特性に起因しているのではないかと思いました。本は「著者との対話」とも言われますが、書かれている内容が全てであり、追加の説明はありません。読み手はその内容を自分で解釈し、理解を深める必要があります。読書は、良くも悪くも受け身になりやすいメディアです。それでも、理解が難しい箇所では立ち止まることができ、再考する時間が与えられています。この「立ち止まる」という行為こそが、本の大きな魅力の一つだと私は考えています。

映像メディアの場合、難解な部分でもつい流して見てしまうことが多いですが、本ではそうはいきません。引っかかる部分に出合ったとき、読者はそこで一旦立ち止まり、考え直すことが求められます。このプロセスは、まるで自分の頭で考える訓練をしているかのようです。

私が学生時代、授業で「わからないことがあればすぐに質問してください」と言われたことがありますが、本を読むときには、わからないことがあっても誰も教えてくれません。読者は悩んだり、あるいはそのまま読み進めたりするしかないのです。しかし、その過程で新しい理解が生まれることも多く、その経験が「人の話をしっかり聴く力」を育むのではないかと思います。

読書を通じて培われたこの聴く力が、読書会の場でも発揮されているのでしょう。著者の言葉を受け止め、自分の中で咀嚼し、そしてそれを他者と共有する。この一連のプロセスが、参加者同士の深い対話を生み出しているのだと感じています。

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安部公房『箱男』(新潮文庫)

朱和之(著)、中村加代子(訳)『南光』(春秋社)

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