今回ご紹介するのは、有好信博さんの『体力がすべて』(ダイヤモンド社)です。
健康のために必要な三本柱は「運動・栄養・休養」だと習いました。この認識自体は、本書を読んでも変わりません。ただ、これまで私がぼんやりと捉えていた「体力」というものを、どのように考えればよいのかについて考えるのに、とても参考になる一冊でした。
本書では、体力を三つに分類しています。
ひとつ目は、長期的な習慣によってゆっくり育まれる「最大体力」。ふたつ目は、その日の体調やコンディションによって上限が変わる「実効体力」。そして三つ目が、活動を通じて削られながら、最終的にどれだけ残っているかを示す「余力」です。この三つの体力をスマートフォンの充電状況に例えて説明しているのも分かりやすかったです。体力をひとつの数字として考えるのではなく、「どれだけの容量があるのか」「今どれだけ使えるのか」「使ったあとにどれだけ残っているのか」と分けて考えることで、自分の状態をより具体的に捉えられます。
特に印象に残ったのは、「休むことが体力の回復のためにすべきこと」と単純には言えないことです。
最大体力を高めるためには、時間をかけて運動などの習慣を積み重ねていく必要があります。一方、実効体力はその日のコンディションに左右されるため、睡眠の質やちょっとした休憩などを意識することが重要になります。そして余力については、どのように活動するかも関係してきます。たとえばマルチタスクを避けるなど、仕事の進め方によっても一日の終わりに残っている体力は変わってくるのだと思います。つまり、「体力をつける」という言葉も、単純に運動をして身体を鍛えることだけではありません。体力を育てること、その日に使える体力を整えること、そして活動によって体力を消耗しすぎないこと。それぞれを分けて考える必要があります。
これは、フィットネストレーナーとしても活かせそうだと感じました。
入会して間もない方とのカウンセリングでは、「体力をつけたい」という要望を聞くことがよくあります。そのときに、ただ「では運動をしましょう」と答えるのではなく、その方が考えている「体力」とは何なのかを考えることが大切だと思います。運動することはもちろん重要ですが、体力に関係するのは運動だけではありません。睡眠や栄養、休憩の取り方、仕事や日常生活での活動の仕方など、さまざまな要素が関係しています。今回学んだ三つの体力という考え方を、自分自身の体力管理だけでなく、お客様とのカウンセリングや運動指導にも取り入れていきたいと思いました。
「体力をつけるためには鍛える」という考え方は、決して間違いではありません。ただ、それだけでは捉えきれない部分があります。
鍛えること以外にも目を向ける必要があると思っている人には、ぜひ手に取ってもらいたい一冊です。私自身もこれからは、最大体力・実効体力・余力という三つのバランスを意識しながら、自分の健康と向き合っていきたいと思います。















